2018.05.11

［リレー形式で綴る］プロフェッショナルが通う店 Vol.5 THE A.I.R BUILDING

和洋中をはじめとした飲食のプロフェッショナルたちが、自分のお店以外にお勧めするのはどんな店なのか。プロからプロへ、リレー取材形式でご紹介致します！　　

2017年9月16日。日本橋の地に、新しい形態のビルがオープンした。その名も『THE A.I.R BUILDING』。Gilles(ジャイルス)というNY出身の架空のジャズミュージシャンが、1970年代に住んでいたというストーリーを元に、築60年という古いビルをリノベーションし、それぞれのフロアでGillesが住んでいた当時を思わせる空間に仕上げたのだという。

ビル全体を、アーティストたちが集う空間にしたかったというオーナーの梁さん。NYでは、日本で言う民泊のようなことはやっていたのが、日本に帰ることになった時に、もっとコンセプチャルなゲストハウスができないかと考え始めた。その時に思いついたのが「一人旅と音楽の融合」だった。

そんなコンセプチャルなゲストハウスを構想し、古いビルを探し始めた時に、今のビルに出会った。見た瞬間に、NY時代からやりたいと思っていたアーティストインレジデンス（アーティスト活動を行う人物やグループを一定期間招き、その場所に滞在しながらの作品制作や展示販売を行わせる事業）ができるのではないかとひらめいた。

「このビルありきだったかもしれません。アーティストインレジデンスは、もうちょっと時間をかけてやるはずだったんですけど、このビルならできる！と。簡単にいえば一目でこのビルに惚れちゃったんですね（笑）」

と梁さん。

アーティストインレジデンスをうたっているこのビルは、2階に宿泊しながらアーティスト活動をして、その作品を2階のリビングや1階のカフェ、地下のスタジオ等で発表しながら滞在することも出来るようになっている。

そしてその滞在期間中は、一棟丸ごと、そのアーティスト色に染めることが出来る（そのアーティストのコンセプトに沿って、自由にレイアウトを変えたり、展示物等でデコレーションしたり、好きな音楽を流しライブをすることも可能）のである。まずは場を作りたい。それが梁さんの強い思いだった。

「そして人ですね。アートや音楽そのものというより、まず先に、アーティストありき。アーティストたちに集まってもらいたかった」

その集まったアーティストたちが何をやるのか、梁さん自身もわくわくしながら見守りたいという思いもあるのだろう。

「日本橋だから面白いのかなっていうのもありました。日本橋のイメージといえば伝統と歴史、今はビジネス街ですよね。あまりアートというのは頭に浮かばない。そんな街にアーティストたちがどんどん集まってきたら面白いんじゃないかと。ここを拠点に、同じようなアーティスティックなビルが増えて、そのムーブメントが、日本橋の街作りの一つになればいいなと思っています」

そしてその先駆けとなるのがこの『THE A.I.R BUILDING』。日本橋がアーティストの街と呼ばれる日が来るのを、今から楽しみにしたい。

一階はカフェ「PUBLIC SPACE」（パブリック・スペース）。アーティストのラウンジ兼キッチンの想定で、いつでも気軽にアートと接して欲しいという思いから一般の人も楽しめるカフェにしてある。展示物や内装、店内レイアウトは、可能な限り二階に滞在するアーティストが企画・提案できる。

二階「LOFT」は、アーティストが日本滞在中に宿泊できる部屋となっている。アーティストのワークスタジオやギャラリーも兼ねているため、リビングを一般開放してアートを展示して作品を発表することもできる。また、ブランドのポップアップショップ、撮影のロケーション等のスペースレンタルも可能。

三階「BOX OFFICE」は、Co-Working Space。クリエイターやノマドワーカーが集うオフィススペースとなっていて、『THE A.I.R BUILDING』から全世界に向けてクリエイティブな情報発信をしていこうという試みだ。

地下一階「BASEMENT」では、ギャラリーとしての展示と共に、エキシビションパーティ等でDJやバンドのライブ演奏も行える。レセプションパーティーでは日本のJAZZ界が世界に誇るトランペッター、黒田卓也氏がプレイし会場を湧かせた。

写真は『スパークリングティ』と、『チョコレートケーキ』。飲み物のメインとなるのは紅茶『LUVOND TEA』。

『スパークリングティ』（600円）、『チョコレートケーキ』（650円）

GINZA SIX 6F　LUVOND TEA SALON（ラヴォンドティーサロン）のオーナーであり、世界最高峰の茶葉を自ら買付け、ブレンド、メニュー開発や店舗プロデュースを行うティーアーティスト・伊藤孝志氏プロデュースによるもの。そのコンセプトに合わせ、デザートメニューも体に優しいオーガニックのパンケーキやグルテンフリーのケーキなどを取り揃えている。