2017.09.12
[リレー形式で綴る]プロフェッショナルが通う店 Vol.2
Bar Old Sergeant
[リレー形式で綴る]
プロフェッショナルが通う店 Vol.1 BAR 30CLUB
和洋中をはじめとした飲食のプロフェッショナルたちが、自分のお店以外にお勧めするのはどんな店なのか。プロからプロへ、リレー取材形式でご紹介致します!
前回の『30CLUB』オーナー沼田さんからの紹介で取材させて頂いたのが、この『Bar Old Sergeant』。池袋のディープゾーンの中に建つ「ここがお店?」といった佇まいのバーである。
池袋北口を降りて、ラブホテルや風俗店が建ち並ぶ方向へと歩く。ともすれば呼び込みに声を掛けられるのも当たり前のゾーンだ。そんな呼び込みを振り切って辿り着いてはみたものの、バーらしき建物はどこにもない。バーといえばビルに入っているお店という先入観があるからだろう。まさか、こんな佇まいとは思わない。そう、なんとこのバーは、一軒家なのである。
とはいえ、もちろん一軒家丸ごとがバーなわけではない。そこの一角をバーにして営業しているのである。
オーナーでバーテンダーの杉浦さんが、この店を開いたのは11年ほど前。厳密にいえば「開いた」のではなく「譲り受けた」となるらしい。実は、前オーナー兼バーテンダーは、杉浦さんのお父上。そして、何を隠そうここは杉浦さんのご実家なのだ。
「17年前、父がサラリーマンを辞めて、夢だったバーをやるために自宅を改装したのがこの店なんです」
と杉浦さん。
もともとご実家は、お祖母様が茶の湯に通じており、実家そのものは茶室や箱庭を設えた純和風の造り。その中の一部屋、応接間として使っていた和風の洋室を改造し、このバー空間が生まれた。
茶室を造ってもらった職人さんにバーの改装も請け負ってもらったため、実家の空気感にもそのまま馴染む、“和”テイストの、他にはないバー空間が出来上がった。
もちろん、空間だけではない。
渋谷や赤坂の名店でメインバーテンダーを経験してきた杉浦さんが創り出すお酒が絶品。
中でも人気なのは、この空間にも似合い“和”を感じさせる「抹茶のカクテル(1000円)」。ウォッカをベースにパイナップルとグレープフルーツジュースを使い、見た目を裏切るような爽やかさが特徴。抹茶が苦手という人もぜひチャレンジしてみてほしい一品だ。
変わったところでは、紅茶と烏龍茶を使った「ティー・モヒート」だ。本来モヒートはラムベースにシロップとソーダとミントを加えたカクテルだが、そこに紅茶と烏龍茶を入れることで、爽やかなミントティーの装いも感じさせるモヒートとなっている。
フレッシュフルーツで作る「キウイのカイピリーニャ」は、ぜひ最初の一杯として飲んで欲しい。カイピリーニャは、ブラジルのスピリッツ“ピンガ”にクラッシュアイスと潰したライムを入れて飲むカクテル。ライムの代わりにキウイを入れることでまろやかさと爽やかさと甘さを醸しだし、上品な味わいに仕上げている。
カクテルの王様とも呼ばれる「マティーニ」。ジンとベルモットというそのシンプルな構成から、店によって、またバーテンダーによってもまったく違った一品となるカクテル。ここでは、お客様のオーダーに応じて辛口にも甘口にもしてくれる。ラムベースカクテルの定番はライムで割ったご存知ダイキリ。夏はすっきり冷たいフローズンがお勧め。ヘミングウェイも大好きだったことで有名なフローズンダイキリだ。
日本のウイスキーが多いのもこのお店の嬉しいところ。スコッチ通、バーボン通と、ウイスキー通は多いが、実はジャパニーズウイスキーは世界にも胸を張れるウイスキーだ。中でもニッカのこだわりは知る人ぞ知る…である。そんなニッカのシングルカスクウイスキーがコレ。
カスクとは樽の意。他の樽のウイスキーとのブレンドなどがなく、一つの樽からできたウイスキーを熟成し続けたものを、シングルカスクウイスキーというのだが、これはかなりの貴重品といえるだろう。
女性にも大人気の「自家製オレンジピールのチョコ」。カクテルにフレッシュオレンジを使うため、皮がもったいないからと作り始めたとのことだが、絶妙な甘みと苦みは女性はもちろん、試しにつまんでみた男性客をも虜にする逸品となっている。
池袋の片隅で、バーとは思えない“和”を漂わせる「Bar Old Sergeant」。一人で切り盛りするバーテンダーを前に、自分だけの静かな空間を楽しみたい。そんな人向きのバーかもしれない。ホッと一息つきたい日には、この小さな看板を思い出して、ぜひ訪ねてみてほしい。
Bar Old Sergeant
東京都豊島区池袋2-49-3
TEL 03-3982-0940
営業時間 19:00~翌3:00くらい
今回取材させて頂いたBar Old Sergeantのマスター・杉浦さんがお勧めするお店はココ!
『日本料理ととや魚新』
杉浦さん曰く
「赤坂のバーで働いていた頃、その上にこの店があって、よく通っていたんです。みなさん仕事が丁寧で、おいしいのはもちろんですが、その仕事に対する真摯な態度に、私も見習わなければ…と思いました。今も折に触れて顔を出させて頂いています」
とのこと。
次回もお楽しみに!
??プロフェッショナルが通う店 Vol.3 赤坂ととや魚新>