2018.02.08
メニューの数は一万通り以上!こだわり凝縮ラーメン屋
都営新宿線が通る江東区大島。
いまだ活気ある商店街が多く残り、下町人情が魅力的なエリアだ。
そんな江東区の大島駅から徒歩3分の場所に、ひっそりと店を構えるラーメン屋がある。研究熱心な店主が一人で切り盛りする「兼吉(かねきち)」だ。
「兼吉」は都営新宿線大島駅のA6出口から左へ直進、サンロード中の橋へ折れ、一つ目の十字路を左へ曲がって少し進んだ場所にある。
通りからは看板も見えず、うっかりすると見落としてしまいそうな外観のため、初めて来店する際は迷ってしまうお客さんも多いのだとか。
雑誌やテレビでもたびたび紹介されているのになぜか行列ができない理由は、この立地によるものが大きいだろう。
有名なテレビ番組ではテレビ東京系「出没!アド街ック天国」などでも取り上げられているが、放送を観た人が押し寄せて混雑、などということは一度もないらしい。
地元の住民に愛される、隠れた名店といったところか。
中へ入ると、店内にはところ狭しとメニューやスープについての説明書が貼られ、店主のこだわりがうかがえる。また、店内にはなぜか金魚が泳いでいる。
実はここ、多種多様なメニューの多さで有名なラーメン屋なのだ。
基本のスープは「醤油」「しろ(白醤油)」「みそ」の3種類なのだが、そこへ18種類からなる調味タレを足し、11種類のトッピングを加えることで無限の選択肢が生まれる。冷たい麺や汁なし麺も人気で、変わり種メニューも豊富だ。
それら全ての組み合わせを数えると、メニューのバリエーションはなんと1万通り以上にもなるという。
なぜここまでメニューが多いのかというと、それはひとえに店主の研究熱心さのためだ。常に新しい味を模索し続け、新メニューを追加しながら15年間営業を続けた結果、ここまでメニューの多い店になってしまったということだ。
テーブルメニューだけでも下写真の情報量なので、初来店の方はどれを選んで良いか迷うことだろう。しかし、初めて「兼吉」のラーメンを食べる際には、まずは基本の「醤油」「しろ」「みそ」をシンプルに食べてみることをおすすめしたい。
一口含んだときに真っ先に立ってくるのが魚介の旨みだからだろうか、「兼吉」のスープは濃厚なのにしつこくない。豚、鶏、野菜、魚介をブレンドし9時間煮込んでとった上質なダシは、コテコテの油っぽい濃さとは無縁である。「濃厚」と「あっさり」を両立させたスープには、最後の一滴まで飲み干したくなる魔力がある。
また、あえてスープを残して雑炊を注文すると、チーズが入った雑炊を熱々の石焼きの器で提供してくれるのも嬉しい。
調味タレは「胡麻」「ゆず」「梅香」など安定の味から、「トムヤム風たまごとじ」「ミルク仕立て」などの変わり種まで様々。
その中で意外に人気が高いのが、ラーメンでは珍しい「カレー」である。カレーうどんのようにどろっとしたカレーがかかっているわけではなく、あくまで「カレーの風味を取り入れたラーメン」で、スパイスの風味と独特のコクがやみつきになると評判だ。
また、トッピングの変わり種といえば「玉子豆腐」や「揚げもち」がおもしろい。なめらかでコクのある自家製玉子豆腐は、玉子の味がしっかり感じられる濃厚な味わいで、他のラーメン店ではお目にかかれない。
今回の取材では、ラーメンを食べる前に「和風海老蓮根餃子(600円)」を一皿注文。サクサクの蓮根と海老が入った食感の良い餃子で、ニンニクが使用されていないため平日でも安心して注文できる。
さらに、手間暇かけてスモークし熟成させたという「かきスモーク オリーブオイル漬け(600円)」も注文。口当たりの良いまろやかなオリーブオイルが、クセのあるスモーキーな旨みとマッチした逸品だ。牡蠣の奥深いコクが驚くほど濃縮されている。
そして、いよいよラーメンを注文。
写真上は「醤油×梅香×兼吉トッピング(1400円)」。「兼吉トッピング」とはいわゆる「全部のせ」だ。通常の具材に加え、香味ねぎ、ワンタン、半熟味玉などがトッピングされる。濃厚な醤油ベースにさっぱりした梅の香りがよく合う。
写真左下は「みそ×ミルク仕立て×バター・香味ねぎ・半熟味玉トッピング(1300円)」の太麺を注文したもの。まろやかなミルク仕立てのみそスープに香ばしい焦がしねぎ、バターの風味が絡み合う鉄板の組み合わせである。
写真右下は「しろ×旨辛カレー×半熟味玉トッピング(1100円)」だ。ピリッと辛みのあるカレー味が新感覚なラーメンである。
具の中で特筆すべきはチャーシューだ。提供前にフライパンで炙るチャーシューは、箸でほろほろと崩れるほど柔らかい。濃厚なスープに負けじと存在を主張する、大変満足感のあるチャーシューである。
また、「兼吉」で意外に人気があるのがデザートだ。現在の定番メニューは写真左「あんずシャーベット(200円)」と写真右「チョコレートデザート(200円)」。
爽やかなあんずシャーベットは、ラーメンを食べた後の口の中をさっぱりとリフレッシュさせてくれる。
一般にメニューの多いラーメン屋は味が良くないというイメージがあるが、それを覆すのがここ「兼吉」だ。神楽坂の人気ラーメン店「黒兵衛」で10年修行した店主がこだわりにこだわったメニューの数々はどれもハズレがなく、有名店にひけをとらないと評判である。
おいしいラーメンを並ばず食べたいという方は、大島駅のひっそりとした路地裏を訪れてみてはいかがだろうか。
兼吉らーめん
[ランチ]12:00~15:00
[ディナー]18:00~22:00(L.O)
水曜定休